研究課題

   ノンバーバル行動(NVB)研究では、解読・認知に関する研究、表出に関する研究が盛んであるが、ノンバーバル行動の持つ機能も忘れてはならない側面である。その機能を研究する際に有力なものとして、姿勢があげられる。姿勢は、呼吸と同じように自分で制御できる部分と意識をしなくてもその行動をとるという興味深い両側面を持っている。姿勢は身体の健康状態、精神あるいは感情の状態、その人の地位や態度などのさまざまな属性等を表現している。その姿勢を変えることにより、さまざまな精神の状態に影響を与える機能を持っている。主たる研究のテーマは、姿勢を含めた各種のノンバーバル行動(表情、身振り、接触、歩き方、他)がその行動をとっている人間自身の意識にどのような影響を及ぼすかについて、ノンバーバル行動を独立変数として検討を加えるものである。
 さらに、NVBは種々の異なるコミュニケ−ション状況で使用され、感情、情動状態とも関連が深い。感情研究は古くから行われているが、その尺度化がなかなか困難で、現在も試行錯誤の状態である。この感情の尺度化も関連研究テーマである。
 また、NVBや感情に関する研究の実際的・応用的な部分として、健康も関連研究テーマである。「健康」については、医学的見地からだけでなく、さまざまな視点から考えられ、興味がもたれている現在である。通常は西洋医学的な考え方、すなわち、デカルト以来の心身二元論的な考え方である。それに対して、東洋的な考え方では、心もからだもという人間をひとつの全体としてとらえる考え方が基本にあるように思える。訓練・トレーニングのやり方についてみると、西洋では「心から身体へ、心から形へ」という方向に対して、東洋では「身体から心へ、形から心へ」というものである。独立変数、従属変数の取り方の違いに興味がある。



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